生粋の湯島っ子で、子供の頃からお神輿を担いできたという妻恋町会長、 増田克己さん。 湯島天満宮祭礼連合会の副会長でもある。 菅原道真公一千七十五年祭にはもちろんのこと、菅原道真公一千百年大 祭も迎えることができたことを、これほどの幸福があるだろうかとうれしそうに語る増田さん。この大祭に参加したことにより、妻恋町会、 氏子の皆さんが一つにまとまり、盛り上がっていったという。
その語り口は、地味に淡々とさり気ないのだが、 何か心の底には、熱いものを秘めている情熱のようなものが、こちらにもひしひしと伝わってくる。
「湯島天満宮新社殿の御造営におけるお木曳きの時には、実に感動いたしました。当日は、小雨が降っていましたが、新社殿の御造営に 使用する木曾檜が境内に運ばれるわけです。 何かじーんとしましてね」。それを間接的に 聞いているだけでも、情景が目に浮かび、小雨と相まって、目尻に水滴の滲む増田さんを 想像してしまった。
「祭りがあってもなくても、月1回の会合はかかし ません。それが各町会のコミュニケーション作りに 役立っています」 湯島の街を祭り一色に染める湯島天満宮例大祭は、 祭礼連合会を始め、氏子25ヶ町の町会のご協力により、盛大に執り行われている。
「みなさん、よく協力してくださるんです。湯島の 祭りは今でこそ、規模も大きくなりましたが、湯島 天満宮さんを中心に町内会、氏子のみなさんのお気 持ちは昔のよいところをそのまま生かし、今に伝え ています。素晴らしいことです」
あくまでも、謙虚に裏方に徹する姿勢の増田さんではあるが、その秘訣の一つとして、 若い頃からの趣味として、山登りが挙げられる。 「私が山登りと言うと、意外に思われるかもしれません」と笑いながらも、本格的な 登山のことでは、ひとしきり話が弾む。最後に話の締め括りとして、増田さんは語る。 「神輿を担いでいると浮世のことも忘れます(笑い)。目下の課題は、若い人をもっと 増やしていくこと。私たちが楽しかったことを、次の世代につなげていけたらと思います。



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