子供の頃、コレクターで古美術商だったお父さんの影響を受けた、小川多架子さん。現在は独立して35年、『池之端 葵美術』の店主。「最初の頃は、競り落とすとき、どきどきして声も出なかった。でも、いまは平気。希望のものが競り落とせたときは最高です」。「自分らしさを出すために、女性風俗専門で…江戸時代の着物とかを資料館に収めていました」。

店内には帯留め、簪、櫛、時代裂など女性のアンティークな貴重品が取り揃えてある。また、伊万里、九谷、現代作家の工芸品、西洋美術等も並んでいる。「時代は大きく変わったと思います。その時代の感覚を早く掴むことが大事。最近では若い人の中にもいいものがわかる人がいて、お客様から教えてもらうことが多いですよ」と、謙虚で常に勉強熱心な小川さんである。
いつの時代にも、いいものは残したい、そんな父から娘へ、モノを通して育まれた慈しむ深い思いが、『葵美術』の変わらぬ魅力となっている。


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